登場するモンスター達は美しいが、そのディテールはミストのせいで不明瞭。そのためチープな雰囲気が漂う。つまり、単なるホラー映画としては不満が残る。監督自身が認めるように、観た者同士が語り合い、議論することによって楽しさを増す映画なのだろう。
問題のラストシーンだが、この手のどんでん返しは珍しくない。どうせなら、4発の弾丸を醜く奪い合い、我先にと命を絶ち、最後の一人が戦車を迎える・・・なんて方がハッピーだと思うが?しかし、これほど「生き様」と「死に様」について考えさせられる映画は珍しい。
スーパーマーケットでショッピングする人々をミストの中に潜むモンスターの恐怖が襲う。人々は極限状態の中、次第に理性を失いはじめる。
自分の子供のため、周りの制止を聞かずにミストの中へと消えていく「短髪の母」。
見えない恐怖に怯える人々を嘲笑い、救助を求めて出て行く「弁護士」。
聖書を片手に人々を導き、神の代弁者を名乗る「宗教家」。
冷静な判断力と大胆な行動力を併せ持つ、アメリカンヒーロータイプの「主人公」。
もし、生き方に正誤を求めるのなら、無事に救われた「短髪の母」の選択が正解なのだろう。「主人公」は生き残ることができたものの、自責の念から逃れられない。
身の危険を顧みず、我が子を救おうと行動した「短髪の母」は救われた。
「主人公」が他者を救えなかった理由は、彼が偽善に満ちていたからだ。
厚かましい「宗教家」は、神の赦しを得て、人の手で殺された。
想像力に欠ける「弁護士」は、神の怒りに触れ、モンスターに殺された。
ミストの神(クリエーター)である監督の好みが表われているのだろう。無償の愛を象徴するかのような「短髪の母」を救う意図は理解するが、扇動のプロともいえる映画監督がアーティストである「主人公」を含めた扇動者達に試練を与えたのは自虐的なジョークなのかもしれない。そして、扇動者に追従する脇役達は、翻弄されるがままの観客を表すかのようだ。
ミストが見通しの悪い人生を象徴しているとすれば、強大な国家権力と好奇心旺盛な科学者の無責任さに、改めて背筋が寒くなる思いである。生き方の正誤など誰も知らないが、生き方の美醜を知る人は何処かにいると思う今日この頃なのだ。
最後になりましたが「ぬりかべ焼酎」どうもありがとうございます。
- 2008/10/07(火) 00:55:37|
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